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■論文・コラム4 産業観光による地域振興


産業観光による地域振興
株式会社マキュアス 代表取締役 猪瀬典夫



序.はじめに
 地域活性化への活動においては、既存のマーケットから、より広域マーケットに対応した地域振興方策として、観光による誘客への取り組み事例が多く見受けられる。
 近年、名所・旧跡を巡る従来の観光に加え、新しい観光活動として、産業施設や工場の視察、農産物やものづくりの現場を訪れる体験型観光など、楽しみながら学び、また、体験することで人的交流を促進する効果も得られる産業観光が注目されている。
 そこで、地域に現存している伝統的な蔵などの産業施設や工場、農業施設などさまざまな産業の生産現場を新しい観光資源として活用することにより、観光客や観光消費額の増加などの効果を目指した産業観光の戦略立案にあたっての取り組み視点について紹介する。

■産業観光とは
 「産業観光」とは、歴史的文化的価値のある産業文化財(機械器具、工場遺構など)、産業現場(工場・工房など)及び産業製品を観光資源とし、それらを通じて物づくりの心に触れるとともに、人的交流を促進する観光活動をいう。
出典:観光の新分野産業観光 著者:須田寛、発行:交通新聞社


1.少子高齢社会における新たなマーケットとしての産業観光
 全国的な少子高齢人口減少社会への移行に伴い、地域産業を取り巻く身近な市場環境は縮小傾向にある。
 一方、高齢社会の到来の中では、団塊の世代の退職などに伴い、自由時間・余暇時間を有する人たちが、市場に大量に創出される。
 少子高齢社会というマーケットの縮小傾向の中で、新たなライフスタイルを有する人たちの登場は、新たなビジネス機会や新たな消費行動の発生として捉えられる。
 そのような市場環境と消費行動の新たな可能性に対し、産業資源を活用した産業観光への取り組みは、地域振興における誘客・ビジネス機会としての可能性を有する。

■取り組みの視点
○ 広域来訪の誘発などによる新たなマーケットの創出。
○ 余暇時間・自由時間における観光行動の増大への対応。
○ 体験型観光による時間消費型行楽・産業学習機会の提供。
○ 産業体験などを通じての趣味や文化活動などによる自己表現、自己実現機会の提供。

■事例

◆入間市文化創造アトリエ AMIGO!
 旧埼玉県繊維工業試験場入間支場の跡地・施設を活用し、織物工房での機織や染色工房での染物体験などの文化活動の場としての活用。 ◆難波田城公園・難波田城資料館(富士見市)
 旧家を移築・保存し、ボランティアの施設運営への参画や、糸紡ぎや機織などのサークル活動の場としての活用、子ども達の宿泊体験(昔の農家の生活体験)等を実施。

2.産業PR・企業PRとしての産業観光
 産業観光は、歴史的文化的価値のある産業文化財(産業機械器具遺構、工場遺構など)、産業現場(工場・工房など)及び産業製品を観光資源とし、観光活動を行うものであり、見学や体験を通じて、直接的に産業及び企業などのPRや企業の取り組みをアピールする機会となる。
 そのため、産業観光の振興は、地域産業のPRや産業育成に直結する地域振興方策として、また、企業・事業所と消費者などとの相互交流機会としての活用などの積極的な取り組みが求められる。

■取り組みの視点
○ 生産・製造工程の公開による製品・商品への安心・安全性などについての情報提供。
○ トレイサビリティの直接的効果の発揮。
○ 消費者・利用者のニーズ把握の機会としての活用。
○ 新製品・商品のデモンストレーション、モニタリング機会としての活用。
○ 産業文化財(産業機械器具遺構、工場遺構など)の展示・公開による産業や製品・商品への親近感の創出。
○ 生産・製造工程の公開による企業内の取り組み・意識向上等への貢献。

■事例

◆今福屋 臼田製麺工業(埼玉県桶川市)
  製販一体型事業所における生産工程の見学ルート整備による一般公開を検討中。 ◆埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所
  産業遺構の展示による茶業のPR。

3.産業人育成・地域づくり面での人材育成への貢献
 地域産業の振興にあたっては、産業の担い手づくりが重要な取り組みとされる。
担い手の育成については、若年層からの気軽に参加できる取り組みとしての産業観光の活用が求められる。
 また、地域産業の振興については、産業界のみならず、多分野からの参画と連携・協働による取り組みが多面的な事業機会の創出につながる。
そのため、産業観光の推進においても、多彩な担い手の参画による事業展開が求められる。

■取り組みの視点
○ 職場体験などを通じての次世代を担う産業人の育成機会としての活用。
○ 伝統的地場産業や産業技術の伝承・継承のための後継者育成の機会・場の創出。
○ 産業体験などを通じて、地域づくりとしての産業振興に楽しみながら参加できる。
○ 産業界の産業観光と市民参加の地域活動の連携による多彩な地域づくり・まちづくり活動の創出。
○ 観光案内ボランティアなどによる地域活動機会の創出。

■事例

◆麻原酒造㈱
  中学生の職場体験などの受入れ。 ◆中川やしおフラワーパーク
  市民・企業などの多彩な参画による観光振興や環境美化への取り組み。

4.産業間連携によるビジネス機会の拡大
 産業観光施設は、市町村の区域を超えた広域からの来訪者がある。
 それらの広域来訪者を産業観光施設の顧客としてのみならず、地域産業界の顧客として、産業振興の機会としての取り組みが求められる。
 産業観光と他の地域産業界の連携・協働による取り組みは、新たな地域おこしや産業振興施策の展開の可能性を有する。

■取り組みの視点
○ 産業観光施設における他の商店・事業所の地場産品・特産品などの展示・販売による販路拡大。
○ 産業観光施設における地場産品・特産品などの展示・販売による地域性の表徴に基づく、もてなしの提供。
○ 産業観光施設と地域産業の連携・協働による地場産品・特産品などの開発、地域ブランドづくり、地域おこしへの取り組み展開。
○ 産業観光施設と他の地域施設・事業所の相互案内などによる誘客の相乗効果の発揮。

■事例

◆おがわ温泉 花和楽の湯
  売店での地元の特産品などの展示・販売。 ◆都幾川 四季彩館
  地元の特産品開発の広域からの来訪者へのモニタリング機会としての活用。

5.施設間連携や地域間連携による周遊型観光などの展開
 産業観光施設は、それぞれが単独で誘客することによる取り組み以上に、産業観光施設間の連携や他の産業施設との連携、また、地域間連携により、地域産業の振興や活性化を推進する上で多面的な効果が期待される。

■取り組みの視点
○ 産業観光施設・資源を活かした街なか観光や商店街・中心市街地活性化への取り組み(スタンプラリーや街なか散策ルートづくり、観光消費機会・場の創出など)
○ 産業観光施設のテーマ別広域的連携(類似施設、季節に応じた立ち寄り・回遊行動など)による周遊型広域観光ルートづくり。
○ 旅行会社や交通機関などとの連携による周遊型広域観光企画の商品化。

■事例

◆中山道桶川宿案内板
  地域の歴史・個性に基づく散策ルートづくり

◆“国登録有形文化財木島屋総本家土蔵”での埼玉県内三階建土蔵の紹介

◆吉見町観光スタンプラリー ◆ながとろ観光案内板

6.産業観光による話題性・パブリシティ効果の発揮
 産業観光施設・資源は、各種企画事業の展開とともに、季節的要素が多い。
 そのため、産業観光施設は、地域のPR・アピールするための素材として効果的な役割を果たす。
また、季節的要素が多いことは、マスメディアによる取材・放送・記事掲載などのパブリシティ効果が期待される。

■取り組みの視点
○ 産業観光という複合的要素による、また、産業観光への取り組みによる地域のPR・アピール機会の向上。
○ イベント企画事業などの多面的な取り組みによるより一層の誘客効果の発揮、リピーターの誘発。
○ 季節に応じた話題提供によるパブリシティ効果の発揮、広域的情報発信機会の創出。
○ 話題性・広域情報発信に基づく、新たな産業振興への取り組み機会・シーズの創出。


■事例

◆荒川商工会そばまつり
産業観光資源に基づく広域への情報発信と知名度の向上。 ◆ドックパーク幸手
各種イベントや地元特産品の普及、中心市街地活性化プロジェクトとの連携による多面的な話題提供。

7.各種行政施策などとの連携による相乗効果の発揮
 産業観光については、産業施設としての整備のみならず、教育、文化活動、福祉などの各種施策に基づく施設整備などとの連携や、広域から来訪・集客する施設を活用することによる産業振興の機会としての取り組みが求められる。

■取り組みの視点
○ 総合的学習や地域学習、地域愛の醸成などをめざした学校教育との連携、産業界の積極的参画。
○ 地域の文化活動やサークル活動との連携、機会提供としての産業観光の活用。
○ 福祉施策などに基づく施設整備との連携による地域産業の社会貢献や、新たなビジネス機会の創出。
○ 広域来訪・集客する公共施設におけるサービス提供などへの地域産業の積極的参画による産業観光の育成機会の探求。
   ■事例

◆戸田市立郷土博物館
 学校教育や生涯学習などの幅広い教育環境の創造を目指した博学連携事業の展開。 ◆童謡のふる里おおとね温泉100の湯
 福祉施策との連携による集客施設の整備と産業界の参画。


出典(抜粋):埼玉県商工会連合会/「産業観光で地域振興-新しい観光資源をつくるための提案-」/平成19年3月
※埼玉県商工会連合会が、産業観光の推進を目指して、県内商工会へのアンケート調査や産業観光関連施設へのヒアリング調査の実施などに基づき、平成18年度広域振興等地域活性化事業報告書として取りまとめた。

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