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■論文・コラム6

 
 商工会コミュニティビジネスの取り組み
 株式会社マキュアス 代表取締役 猪瀬典夫


序.はじめに
 本報告は、埼玉県商工会連合会が実施したコミュニティビジネスによる地域活性化へ向けての調査研究事業に基づく知見の一部を紹介するものである。
 埼玉県内の商工会へのアンケート調査においては、コミュニティビジネスに取り組んでいる団体について、認知している件数が少なく、コミュニティビジネスへの係わりも少ない状況であった。一方、産業界と連携して地域のまちづくりに取り組んでいる団体については、コミュニティビジネスに取り組んでいる団体の数以上の紹介があった。
 また、商工会などへのヒアリングを通じて、それぞれが地域の実情に即した産業活性化や地域振興の推進を図るために、地域内でのさまざまな団体などとの係わりに基づく取り組みが行われている。
 そのような中では、商工会が、さまざまな地域資源の活用や各種団体との連携・協働に取り組むことで、地域課題の対応・解決への可能性を有していると言える。
 そこで、地域産業が抱える課題に対し、商工会がコミュニティビジネスに係る取り組みの意義と、コミュニティビジネスの実践主体との係わり方について、次のように整理する。

  ■コミュニティビジネスとは(定義)
  地域の課題を地域住民が中心となって、  ⇒発意、参画、行動すること
  ビジネス手法を用いつつ解決し、      ⇒経済活動を行うことにより
  地域を活性化する。            ⇒地域が豊かさを享受する


1.コミュニティビジネスの地域活性化の可能性

① 地域振興の担い手としての可能性
 商工会地域においては、製造業における技術革新・生産環境への対応などの中でのグローバル経済による影響を受けやすいこと、商業における郊外大規模商業集積との競合などにおける競争激化など、地域経済を支える事業所・人材の減少が大きな課題となっている。
 特に、競争力強化策に対応しづらい中小企業者が会員の多くを占める商工会においては、事業活動を担う後継者の不足・不在が、直接的に会員の減少につながり、商工会の運営そのものに大きな影響を与えることが危惧される。
 そのような中で、「地域の課題を地域住民などが中心となって、ビジネス手法を活用しながら、地域を活性化する」コミュニティビジネスは、次のような視点から、商工会が取り組むべき事業領域として位置づけられる。

• 産業活動が多様化する中で、地域ニーズに基づく新たなビジネス領域
• コミュニティビジネスにおけるグローバルな視野(環境問題、健康づくり、観光立国、メディアコンテンツ、次世代育成・世代間交流などへの対応)を地域へ導入する機会・受け皿としての活用
• 地域活動や地域の活性化を担う潜在的な人材の活躍の場づくり
• 地域活動や地域の活性化のための新たな実行・実働の担い手とのネットワーク形成に基づく参画・連携・協働の体制づくり

② 新たなチャレンジ機会としての可能性
 地域産業の空洞化などの課題が生じている中で、自由時間・余暇時間の増大や団塊の世代と言われる人的資源の地域への定着が見られる。
 特に、埼玉都民と言われ東京都心へ通勤していた膨大な団塊世代のサラリーマン層の生活時間の多くは、地元・埼玉県内に依存している。
 一方、それらの世代の人的資源の経験や知識、ネットワークなどは、地域活動における潜在的資源として期待される。
 また、本調査研究事業における商工会アンケートにおいても、リタイア層の人たちの地域活動への参画ニーズへの対応が指摘されている。
 そのような中で、住民主体の地域密着のビジネスであり、必ずしも利益追求を第一としない適性規模・適性利益のビジネス(営利を第一とするビジネスとボランティア活動の中間領域)としてのコミュニティビジネスは、それらの人的資源にとって有用な参画機会と言える。
 商工会や地域にとっては、都市機能や地域活動が空洞化しつつある状況下で、既存のイベントやまちづくり活動における新たな人的資源の参画による地域の魅力強化・変化の創出につながることが期待される。
 また、コミュニティビジネス予備軍としての人材にとっては、商工会との連携等により、事業シーズの発掘・地域活動への取り組み機会の創出につながることが期待される。

③ 経済的効果の可能性
 既存産業における地域経済の停滞・下降傾向にある中で、本調査研究事業における商工会アンケートにおいては、コミュニティビジネスが「地域内経済の活性化や経済の循環に寄与する」との回答が多い。
 また、商工会へのヒアリング調査においても、各種団体・事業所・住民などとの連携・協働による取り組みを通じて、地域活性化へ向けての新たな事業展開や、広域からの集客・来街促進による小規模マーケットの打開、地域の新たなイメージ戦略の構築、行政施策の多面的展開によるビジネス構築、既存産業の活性化などへの取り組み可能性が見られた。
 今後、各種団体・事業所・住民などとの連携・協働による地域課題に対応したコミュニティビジネスの展開は、新たなビジネスの創出という側面とともに、産業間の連携や協働のためのネットワークの拡充によるビジネス内容・機会の増大を誘発することにより、地域経済における内部循環の創出という相乗効果・波及効果が期待される。
 特に、市町村合併地域においては、地域の個性強化や地域間競争力の強化を図るためにも、コミュニティビジネスへの取り組みによる地域づくりが求められる。

2.商工会によるコミュニティビジネス支援へのアプローチ

 商工会においては、地域振興や活性化を推進するための取り組み方策のひとつとして、コミュニティビジネスへの取り組みが求められる。
 本調査研究事業においてヒアリング訪問した商工会の中には、商工会自らが事業企画・推進しながら、地域連携への発展・事業展開を図りながら地域活性化へ向けてのビジネス構築へ取り組んでいる事例も見られた。
 しかし、地域活性化へ向けての持続的な事業展開を図るためには、地域内の各種団体や事業所、住民などとの連携・協働による取り組みが求められる。
 地域経済団体である商工会は、地域づくりのプロデューサー・コーディネーターとして、コミュニティビジネスに取り組む団体・人材に対して、次のような係わりや支援、地域への仕掛けづくりが求められる。

① NPO法人なども地域活動・経済の一翼を担う事業者
 コミュニティビジネスに取り組む団体の多くは、NPO法人として活動することが多いが、それらは、同好の志の集まりである組織であり、設立初動期においてはボランティア的活動を主眼に事業実施していることなどにより、営利追求の産業界とは一線を画す傾向にある。
 そのため、それら団体は、商工会に加入しているNPO法人など団体数も少なく、また、商工会へ加入できることを知らない団体も多い。

 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などは、地域活動や地域経済の内部循環などを担う事業者として、地域づくりのパートナーとして、積極的に商工会へ迎え入れ、連携・協働による事業展開を推進する。

② 日常的交流機会の創出
 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などは、設立直後や活動初動期に、エンドユーザーである消費者・利用者へのPR不足が課題とされている。
 一方、商工会においては、地域で活動するNPO法人の存在・活動内容などの情報不足の状況が指摘される。
 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などと商工会・商店街・既存事業者の相互の交流機会の創出が求められる。

 行政などの地域づくり・まちづくり活動などの連携機会を通じて、商工会とコミュニティビジネスに取り組むNPO法人などの日常的交流を図り、スキル・活動フィールドなどの相互理解を図る。

 商工会は、行政や地域などとのパイプを活用し、コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへの業務紹介などの支援を行う。

 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへ、地域づくり・地域活動への参画情報を積極的に発信する。

 商工会や商店街のイベント開催時などにおけるコミュニティビジネスに取り組むNPO法人などの活動内容の発表機会の提供。

 商店街や事業所などの事業展開・事業拡充ニーズなどをコミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへの情報提供による連携・協働の機会創出。

③ 事業所などの顔が見える商工会だからこそできる人的支援
 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などにおいては、事業展開・事業拡充ニーズに対応した人材確保の困難性が課題とされる。
 一方、地域には、さまざまな経験や知識、ネットワーク、自由時間や余暇時間を有するとともに、地域活動ニーズを持つリタイア層など人的資源が存在している。
 また、商工会は、事業所の特徴・スキルなどを熟知した地域を代表する経済団体であり、コミュニティビジネスに取り組むNPO法人と地域の人材や事業所とのマッチングへの取り組みが期待される。

 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへ、創業塾受講生などの研修先としての紹介。
 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などのニーズに基づき、リタイア層の就業相談時や活躍の場のニーズなどに対応した紹介、キャリア・マッチングなどの人的支援を行う。

 事業所のビジネス展開・拡充ニーズや商店街などの事業活動と、コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などのスキル・活動フィールドに応じた相互連携機会の創出に努め、新たな事業展開・地域活動を支援する。

④ 経営指導業務の一環としての支援
 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などにおいては、元来、ボランティア活動を主眼に組織の立上げを行っているケースが多く、事業拡充時における資金調達面での課題や、マーケット分析・ビジネスモデル構築に対する不慣れな状況がある。
 商工会は、中小企業への経営指導機関としての豊富な経営指導実績と専門職員を有しており、今後、地域づくりのパートナーとしてのコミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへの経営指導の促進が求められる。

 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへの創業塾や経営革新セミナーなどへの参加誘発による支援機会の創出。

 コミュニティ・ビジネスの立上げ意向者・立上げ初期段階団体などへの経営指導によるマーケット分析やビジネスプランの確立支援。

 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへの経営指導や、事業内容改善のための専門家派遣などによる経営基盤の強化へ向けての支援。

 コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などの事業展開・拡充における地元金融機関へのビジネスプラン説明会(金融団へのプレゼンテーション)などの場の提供。

【提案】

新たに創設される融資制度の案内を通じた支援:平成21年4月1日、新たに日本政策金融公庫に創設される、コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などへの融資制度「地域活性化・雇用促進資金(社会貢献型事業関連)」の活用に伴う助言や指導。

【課題】

コミュニティビジネスに取り組むNPO法人などを商工会の支援対象業種とすることによる経営指導体制などの拡充。


出典(抜粋):埼玉県商工会連合会/「コミュニティビジネスによる地域活性化-地域の課題解決のために-」/平成21年3月
※埼玉県商工会連合会が、コミュニティビジネスの推進による地域活性化を目指して、県内商工会へのアンケート調査やヒアリング調査の実施などに基づき、平成20年度広域振興等地域活性化事業報告書として取りまとめた。




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